野外彫刻を街に配し荒廃を救った街 UBE

橘川雄一|2024.10
2024年 UBEビエンナーレ野外彫刻展に"柳原義達賞"を授与するため、私は10/26と27、参加した。
今年30回展。1961年に彫刻家として柳原義達、向井良吉、建築家大高正人らが牽引役となって始まった屋外彫刻展だが60年続き、昨年 世界一長く続く屋外彫刻展として"ギネス世界記録"に登録もされた。小さな地方都市がここまで続けるのはひとかたならぬ努力の継続があったのだろう。

今年も世界中(主にはアジア)から183点の応募があり、書類審査で模型制作に進むのが30点、そして更にその中から選定された作品15点が実作される。かなり皆大型である。
審査は酒井忠康氏が審査委員長、水沢勉前神奈川県立近代美術館館長、不動美里姫路市立美術館館長、彫刻家植松圭ニ氏、若林朋子広島大学教授ほかが当たる。
15展の中、柳原義達賞、地方自治体の美術館賞、地元企業、そして宇部市から賞(金)に提供される計で9作品が賞を得る。
柳原義達賞には佐藤久一さんの"Hito_ita-K021 Jun.024"、国内産の石3種類を積んだ作品、が選ばれた。
宇部市大賞を得たのは大学生渡久地佑弥さん23才、"Press block"、高さ4mの長方形のコンクリート躯体のような作品。ゲストで来た俳優山本美月さんが「私には作品の価値が分かりにくい」と語るまだ見たこともない作品。
ただ石材そして金属が主体だった作品群の中で、"モルタル"は異彩を放ち、「時代が次へとシフトした」との審査評。
宇部はセメントの街、「屋外展が60年掛けてやっと宇部(=セメント)に辿り着いたか」とはストーリー好きの私の言葉。柳原義達から始まり60年で宇部にやっと辿り着きました。
UBEビエンナーレ野外彫刻展が、新しい時代を迎えているのかもしれません。
「屋外彫刻が街(市)の戦後の荒廃を救った」と言う宇部市、小学生に町中にある、そして常盤公園にある全ての作品を見て廻らせ、また幼稚園児、小学生、中学生、一般人参加の「彫刻の絵画展」に賞を出し、市を挙げて彫刻を愛する姿勢を貫いている。
若い43才篠崎圭二市長が率いる街 宇部市、私は素晴らしい街との関わりを持てているようです。
オープニング式典の最後に空へ飛ばしたLED風船がとても綺麗でした。
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