"Building Live KOBE 2011"への参加

橘川雄一|2012.4
2011年9月に建築競技設計"Building Live KOBE 2011"に参加する機会を得た。

我々が参加したチームは"BIX"と名付けられたチームであり、東北工業大学許雷先生、(財)建築保全センター、セコムIS、そして(株)パスコの方々、その中に我々を入れてくださった。

コンペそのものは9月11日18時に、公式ブログに課題詳細が公表され、それから48時間以内に課題「国際交流センター」を完成させるという建築コンペである。

競う点は、"Building Information Modeling"。より多くの有効な設計条件を入れて、建築の質をどこまで有効に高められるか、優れたプロセスのデザインを競うものである。
そのために相互に連関性のあるコンピュータソフトを用いて、建築の形(2次元、3次元)ばかりでなく、エネルギーの有効利用、人間の動き、風の流れなどのシミュレーション、また各部屋の情報、敷地および周辺の情報など、様々に条件を入れて、コンピュータによるフィードバックを行いながら、建築の質を高めていこうというものである。

このようなコンペを行う主旨としては、設計上必要なソフトウェアを、相互に連関性(或るソフトウェアに入れた条件も、別なソフトウェアで演算が出来る)を持つものにし、その輪をこれからも出来るだけ拡げ、一つのコンピュータで様々なシミュレーション(演算)が出来るようにしようというものである。

別な言い方をすれば、"Building Information Modeling"そのものを社会に認知させるために行っているコンペであり、人間の頭の中で考えていたものを、互換性のあるコンピュータソフト上で様々に試行が出来るという、与えられた"短い時間"の中で"より密度が上げられる"という、いかにも現代的な要請に基づく解決法の提案コンペである。
我々は、拠点を3ヶ所別々に持つので、スカイプを用いてそれぞれ東京・八王子・仙台を結んで作業を行った。

またいかにも現代らしく、コンペそのものを、公式ブログで現場の雰囲気をliveで伝えたり、ツイッターの#BLK2011や、フェイスブック上でも、様々な会話が行き来し、全体の雰囲気を、仮想空間上で盛り上げていた。

結果として、我々の"BIX"チームは優秀賞をいただいた。評価としては「建物維持運用に係わる視点にて・・・シミュレーションして設計へフィードバックする特徴だった設計プロセスを提示してくれた」とあります。これは我々の狙いでした。エネルギーの有効利用、ファシリティーマネージメントをもBIMの中に取り込んでいます。
またこの優秀賞をいただいたのは、このチームに参加された方々のBIMに対する深い理解と方向性に対しての知識の豊富さがある事は明確である。
コンピュータソフトが戸別戸別で進歩していく中にあって、それを一つのnetwork上で繋げようとする試みはこれからも益々需要となろう。

このコンペに参加させてくださった事に深く感謝したい。